好文木(校長ブログ)
2022.06.14
朝のショートトーク

 冬、遅刻指導で校門に立って挨拶をしていた生徒たちを「そこだと寒いから、こっちにおいで」と、玄関ホールに立っている私のそばに呼んだのがきっかけで、それから早く登校すると暫く私の横に立って話をしてから教室に入るようになった生徒がいます。最初は、私から「クラスどう?」、「学校楽しい?」等を訊ね、彼女が「うん」とか「まあ」とか答えていましたが、そのうち自分から色々話してくれるようになりました。
 その生徒が体調不良でしばらく休んでいたのですが、ようやく今日から登校できるとのことで玄関で待っていました。久しぶりで照れ臭そうにやってきましたので、「おはよう。おかえり」と声を掛けました。「久しぶりに学校に出てきたから緊張します」と言いながら、私の横に来ました。
 「僕の本、読んだ?」と訊くと、「ぱらぱらと」とのこと。しばらく休むことになるかもしれないと思い、帰る前に校長ブログ「好文木」を纏めた「努力に勝る天才なしPartⅣ」を渡していたのですが、少し読んでくれたようでした。
 「『嫌われる勇気』は読んだ?」と訊くと、「パパが読んでた。表紙が青い少し大きめの本でしょ?」というので、「そうそう、お父さんが読んでるなら、借りて是非読んでごらん」と勧めました。どんな内容なのかと訊かれたので、「アドラー心理学で、」と話を始め、先ず原因論と目的論の違いについて説明しました。
 「「むかしいじめられたことがある人が引きこもりになっている」という場合を考えてみよう。「いじめられた」ことが原因で「引きこもる」という結果になったと考えるのが原因論。これは極めて一般的な考え方だね。ところがアドラーは、「引きこもりたい」から、「いじめを理由にする」と考える。これが目的論。原因論はトラウマを認める決定論だが、目的論は明確にトラウマを否定するんだよ。」
 続いて、承認欲求についても少し説明をしてみました。「クラスのみんなと仲良くしていたいと思うと、相手に受け入れられることばかり考え、自分を出せないでしょう。自分を自由にしようと思うと、相手から嫌われることも甘んじて受ける勇気が必要だよ。そういうことをアドラーは言ってるんだけどね」
 「進路はどうするの?指定校考えてるの?」と訊くと、彼女が「私は勉強できないから、一般入試は無理」と言ったので、「それが原因論だよ。「一般入試を受けるための勉強をしたくない」から「勉強できない」ことを理由にしているだけだと思うけど」と返すと、納得して頷いていました。
 朝の玄関での10分ほどの会話ですが、発想を変え自分を変えるきっかけになってくれれば良いなと思っています。

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