好文木(校長ブログ)
2025.09.26
歴史の相似性

 つい先日まで、ツクツクボウシが鳴いていたのに、めっきり朝夕は涼しくなり秋の虫の音に変わりました。久しぶりにネクタイを締めて出勤しました。「暑さ寒さも彼岸まで」とはよく言ったものです。
 今週は金曜日・土曜日と好文明華祭(文化祭)です。アルカイックホールが改修工事に入り暫く使用できなくなるので、アルカイックでの公演は今年がとりあえず最後の年になります。3年生のクラスの出演が多いので期待しています。
 NHK大河ドラマ「べらぼう」は、田沼意次が失脚し松平定信の寛政の改革が始まりましたが、文武の振興も的外れなものとなり、ご政道を茶化す黄表紙を書いた恋川春町は定信の逆鱗に触れ、進退窮まり自刃します。
 田沼政治は重商主義の時代で規制もゆるく文化が華やかでした。半面、賄賂が横行し金権政治的な風潮がありました。天明の大飢饉による農村の疲弊が原因で各地で打ちこわしが頻発し、田沼政治への怨嗟の声が高まり、意次は失脚。享保の時代に戻そうと質素倹約を奨励し重農主義に返そうとする定信が登場します。規制も厳しくなり政を批判する言論に厳しく当たります。
 これはアメリカの現状と似ています。金融経済が実物経済を凌駕し、モノ作りが衰退。多様性と公平性、包括性が重視されその影響は世界に及んでいましたが、トランプ政権はこれらを否定しています。グローバル化に逆行し、国内産業保護を掲げて各国に高関税の脅しをかけてのディールを展開しています。また大学への言論統制も厳しく、寛政異学の禁を彷彿させます。古今東西違いはあれど歴史の相似性を感じ興味深いところです。そして、針を過去に戻そうとする試みは成功しないというのも歴史が証明するところです。

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