長い梅雨がようやく明けたと思えば、猛暑の到来です。家から最寄り駅までの通勤路、桜並木は蝉しぐれに包まれ、一歩一歩進むにつれシャツの襟首には汗がにじんできます。
今年の夏休みは8日から16日までの9日間、コロナで授業日数確保が必要とは言うものの、生徒にとっては誠に気の毒な夏となりました。短い休みですがゆっくり休んでください。
昨日、帰宅しようと校門を出て神崎川手前の横断歩道を渡ろうとしたとき、2人の女性がこちらに向かって横断歩道を渡ろうとしていました。視線を感じたので、渡り切ったところで、「こんにちは」と挨拶をしました。するとそのうちの一人が、「好文学園の延原先生ですね」と声を掛けてきました。「やっぱり卒業生だったんだ」と思って尋ねましたところ、7年前に中退したというではありませんか。大人になっていたので顔ではわかりませんでしたが、名前を訊くと、よく覚えている生徒でした。
彼女はオープンスクールの時に私に声を掛けてきて入学を切望していました。ところが、いざ入学してみると、学校の雰囲気に馴染めなかったようで、私はじめ担任や学年の先生が色々と話を聴いたりアドバイスをしたりしたのですが、残念ながら早々に退学してしまいました。数日前に「あの子、どうしているのかな」とふと思い出していた矢先、本人が現れたのです。こういくケースが今までにも何度かありました。
彼女の話によれば、学校をやめた後しばらくはフリーターをしていたそうですが、「これではいけない」と思い直して高卒認定を取得し、今は兵庫県にある有名女子大学で心理学を学んで2年になるそうです。
「凄いな、よく頑張ったね」と褒めたところ、「でももう22歳なんですよ」というので、「僕も浪人して大学に行ったよ。ちょっとぐらい遅れても問題ないよ」と話しました。私のことはよく覚えていてくれたそうで、時々学校のホームページを覗いているとのことでした。「一緒に写真を撮ってもらえますか」と訊くので、快くOKしました。「今日は、久しぶりに学校の近くに来ようと思った」と、遠慮がちに言うので、当時の担任や学年主任の先生もまだ職員室にいるから、顔を出したらきっと喜ぶよと伝え、また来るように言って別れました。
今朝、彼女が来たか確認すると、校内には入らず、校門から学校を眺めたり、新しいサブグラウンドの防球ネットに貼られた生徒たちの様々な成果を写真に納めたりしていたとのことでした。それなら、一緒に戻ってあげれば良かったなとちょっと後悔しました。それに、写真を撮ってくれた友人にもちゃんと挨拶できず失礼したなと思います。
本当に短い期間しか本校にいなかったので十分な教育が出来なかったのですが、このように訪ねてきてくれるのは実に嬉しいことです。うまい具合に帰り道で出会えたものです。もう少し早く帰っていたら、会えませんでしたし、彼女の近況も知りえぬままだったことを思うと、昨日の偶然に感謝したいなと思います。