好文木(校長ブログ)
2023.05.25
生徒理解とは

 コロナが収束に向かうにしたがって、校長ポストへの投書や話をしたいという要望が増えてきました。ただ単に私と話をしてみたいと思って来てくれる生徒もいれば、悩みや不満を抱えて相談に来る生徒もいます。前者の場合は気楽に応対できますが、後者の場合は、ノートを出してメモを取りながら話を聴くようにしています。
 生徒からの悩みや不満を聴いていて思うことは、教員と生徒間のコミュニケーションの不足です。生徒も以前に比べると繊細で打たれ弱くなっていると感じます。繊細で打たれ弱い生徒に対応する教員にはより一層「傾聴と共感」の姿勢が必要になります。教員には生徒を指導せねばならないという気持ちが強く出るあまりに、一方通行になりがちです。生徒理解にしっかりと時間をかけるべきだと思います。
 また、同じ過ちを繰り返す生徒がいると、「またか」と思います。そして「ちょっと今度は厳しくしないと直らないな」となりがちなのですが、厳しくして直るものでしょうか。我々の前では同じ過ちは繰り返さないかもしれませんが、心から自らの過ちや欠点に気が付き改めようとはならないのではないでしょうか。それでは本当に直ったことにはなりません。
 自ら過ちの原因に気づきそれを正そうという気持ちが起きることが大事です。そのためには教員が生徒に寄り添って深く、深く話を聴き、生徒の心の奥底に沈んでいる潜在意識、深層心理を呼び覚ますことが必要です。それにより生徒自身の自己理解が進みます。自己理解が進めば、少しアドバイスをすれば、生徒は自立してゆきます。生徒の自然治癒力を引き出すのが「傾聴と共感」です。罰を与えたり脅かしたりしても人の心は変わりません。
 私は中島みゆきさんの歌が好きです。特に「たかが愛」という曲の次の歌詞が。
「まちがいだけを数えていても人の心をなぞれはしない。教えておくれ止まない雨よ本当は誰を探しているの。あぁこの果てない空の下で何ひとつまちがわない人がいるだろうか」 

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