好文木(校長ブログ)
2023.03.04
第74回卒業証書授与式学校長式辞

 3年生のみなさん、卒業おめでとうございます。保護者の皆様にも心からお祝いを申し上げます。
 さて、みなさんの高校生活はコロナに始まりコロナに終わる3年間でした。体育祭、文化祭、修学旅行など学校行事が中止や変更になり、何かと不自由な学校生活を送らざるを得ませんでした。また、昨年は安部元総理狙撃事件やロシアのウクライナ侵攻など国内外ともに衝撃的な事件が起きました。そして、このようなことが起こって初めて知りえたこともあり、平和や人権、民主主義など世界の中の日本人として何かと考えさせられることの多い3年間ではなかったかと思います。
 今日、好文学園を巣立ち、社会人への一歩を踏み出すみなさんに是非とも心掛けてほしいこと、それは「常になぜと疑問をもって自分の頭で考える癖をつける」ことです。現代は、不安定で不確実、そして複雑で曖昧であり、これらを意味する英語の頭文字をとってVUCAの時代と言われています。価値観も多様になり、以前の常識が今は非常識になります。時代とともに常識は変わるものの良識は変わらないと考えます。物事の本質を見極める力を養うことが大切です。そのためには読書が最も手軽で有効だと思います。どうか卒業後もますます読書に勤しんで下さい。
 SNSでは表現の自由を鉾に匿名性を盾に、無責任な誹謗中傷が横行し、ときに人を死に至らしめることもあります。また、アメリカやブラジルの議会襲撃事件に象徴されるように、大衆迎合、反知性のポピュリズムの温床ともなります。その情報は本当に正しいのか冷静な判断が求められます。
 今年のNHK大河ドラマの主人公、徳川家康には、「人の一生は重荷を負うて遠き道をゆくが如し急ぐべからず」から始まる遺訓があります。後世の作ともいわれていますが、含蓄のある言葉が並んでいます。私は大学時代に静岡の久能山東照宮に参詣したとき、この遺訓が書かれた色紙を買ってきました。以来、書斎に飾り、困難に出くわす度に読み返しています。
 人生には3つの坂があるといわれます。上り坂と下り坂そして“まさか”です。上り坂、下り坂には予兆がありますが、まさかは想定外です。“まさか”に出くわしたとき、その人の真価が問われます。まさに「どうする、どうする」と決断を突きつけられるのです。人生は選択の連続です。何かを得ようとすれば何かを失うというトレードオフの関係にあります。しっかりと自分の頭で考えて難局を乗り越えて行かねばなりません。
 皆さんが失敗や挫折にめげることなく挫折力を発揮し、力強く自分サイズの未来を切り拓いてゆかれんことを心から願い、私の式辞といたします。

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