好文木(校長ブログ)
2024.03.02
第75回卒業証書授与式学校長式辞

 3年生のみなさん、卒業おめでとう。保護者の皆様にも心からお祝いを申し上げます。
さてみなさん、3年間の好文生活はいかがでしたか。昨年の黒板アート甲子園で本校が2度目の最優秀賞に輝いたことは皆さん周知のとおりです。『今、この瞬間を』と題した作品のテーマは『ネバーランド』、何時までも高校生でいたい。時よ止まれという思いが込められています。この作品を作った美術部のみなさんにとって好文学園での3年間が楽しく満足のゆくものだったのだろうと嬉しく思います。
 多くの卒業生が本校に戻ってきて「高校時代が一番良かった。もう一度戻りたい」と懐かしむのですが、何のトラブルもなく過ごした人は少なく、みなそれぞれに失敗や挫折を経験しています。時には先生の指導に反発したり、友人と仲たがいしたり。校長室に駆け込んできたことも。なのになぜ、懐かしく思うのでしょうか。それは、社会の不条理を知り、黒か白かで片付けられない事がたくさんあるということに気づくからではないでしょうか。漱石の『草枕』の冒頭にあるように、「智に働けば角が立つ。情に竿させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかく人の世は住みにくい」ものです。
 現代はVUCAの時代と言われ極めて不確実性が高い世の中です。世界では戦争や自然災害が多発し、歴史は繰り返されています。一方で、人工知能AIは飛躍的な進歩を遂げ科学技術の発展は止まりません。旧ツイッターXの創設者イーロン・マスク氏はAIに支配されるのではなくAIを支配する人間を育てる教育の必要性を感じ、自分の子どものためのプライベートスクールを創ったそうです。そしてそのスクールの根幹をなすのが哲学教育です。哲学は人間固有の能力である共感力と想像力を育てます。今、IT産業のメッカであるシリコンバレーの経営者の間で、哲学教育の重要性が議論されているのは大変興味深いところです。AI時代だからこそ「学び、自分の頭で考え、伝える」ことが益々重要になってきました。どうか皆さんも学び続け考え続けてください。
 皆さんのゆく手には様々な困難が待ち構えていると思います。挫折しそうになることもあるでしょうが、それを乗り越えた時、新たな希望が生まれます。そして過去の挫折体験を堂々と語れるようになった時、未来を語ることができるのです。失敗や挫折を恐れず果敢に挑戦して自分サイズの未来を切り拓いて行って下さい。そして、疲れたらいつでも好文学園に帰っててきてください。またゆっくりと話を聞かせてもらいます。
 皆さんの健康と今後益々の活躍を心から祈念し私の式辞といたします。

 

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