277名の新入生のみなさん、入学おめでとうございます。保護者のみなさまにも心からお祝いを申し上げます。
3年間続いたコロナ規制がようやく緩和され、伸びやかな気分で入学式を迎えることができ大変うれしく思います。学校生活は完全に正常に戻りますので、勉学に部活動にそして様々な学校行事に思いっきり挑戦してください。
好文学園は「個性創造」をスローガンに掲げています。生徒のみなさんが、基礎・基本をしっかりと身に着けたうえで、一人一人が独創的な考え方や表現ができることを目指しています。大量生産の工業化社会では、みんなが横並びで同じように一生懸命に働けば、経済が成長し個人も豊かになりました。しかし、グローバル化と情報化の社会では、AIの飛躍的な進歩により、横並びや同質性ではなく豊かな感性や個性が求められます。
私は1981年に大学を卒業し商社に入社しました。そのころは、アメリカの社会学者のエズラ・ヴォーゲル博士の「Japan As No.1」という本がベストセラーになっており、日本の将来は極めて明るいものでした。しかし、その後のバブル崩壊と長い経済停滞そして少子化により不透明感が増しました。世界情勢もパクス・アメリカーナ(アメリカによる平和)から中国、ロシア、インドの台頭により多極化に向かいました。そこに昨年のロシアによるウクライナ侵攻という第二次世界大戦後の世界秩序を覆す出来事により、先行きはさらに不安定で極めて不確実なものとなってきました。
一方寿命は延び、人生100年時代に入りました。みなさんはこれからの不安定で不確実な世界を生き抜いてゆかねばなりません。そのためには先ず十分な学力や知識が必要になります。そしてそれをもとに自分の頭で考える癖をつけてください。次に重要なことは、誰しも必ず経験するであろう失敗や挫折に負けることなく、そこから学び立ち上がってゆく力、すなわち「挫折力」です。成年年齢の18歳は目前です。好文学園の3年間は大人への準備期間です。失敗や挫折を成功への糧と捉え、勇気をもって乗り越えてください。そして成功体験を積み重ねて、「やればできる」を実感してください。私たちがしっかりとサポートしてゆきます。
校長室はオープンにしています。学校生活の中で不安や疑問に思うことがあれば、溜め込まずに遠慮なく聞きに来てください。みなさんの疑問や悩みにしっかりと対応していきます。私たちとともに悩みともに考え、みなさんが自分サイズの未来を切り拓いていくことを期待しています。
みなさんの今後の健闘を心から祈り、3年後またこの場で卒業式を迎えられることを祈念して、私の式辞といたします。