10月18日から10月30日まで、梅田の阪急メンズ館3階にて「AWAKE Eve.2-Contemporary Art」が開催されています。期待の若手作家5名によるグループ展です。この中に本校のデザイン美術コース出身で、今年、京都芸術大学を卒業した森本来実さんの作品があります。本校の美術担当教員から連絡をもらい、学校帰りに観に行きました。
梅田に向かう電車の中で、送ってもらったLINEでグループ展の内容を確認しました。森本さんの作品はオレンジのブタ、黄色のライオン、グレーのゾウなどの縫いぐるみを透明のビニール袋に入れた可愛らしい作品で黒のバックに映えていました。透明のビニール袋が立体感と柔らかさを際立たせています。詳細を見ると販売しているとのこと。これはぜひ購入したいと思いました。「まだ、展示されて2日目なので大丈夫だろう、いやこれはいい作品だからもしかしたら売れちゃってるかな」とあれこれ考えながら梅田で降りました。
阪急メンズ館は良く買い物に立ち寄るので、勝手知ったるところです。地下一階から玄関を入りエスカレーターで3階まで駆け上がりました。するとなんと目の前に色鮮やかな森本さんの絵がドーンと目に飛び込んできました。「おお、これは素晴らしい。今回のグループ展のメイン作品なんだな」とうれしく思ったのもつかの間、近づくと価格のところに白い丸いシールが貼られていました。「ええ、やっぱり売れちゃったのか」とがっくりしました。
ギャラリーの中に入り担当の女性に「森本さんのこの絵は売れちゃったんですよね」と訊ねますと、「ええそうなんです。昨日ご夫婦で立ち寄られた方が気に入られてお買い求めになりました」とのこと。一足遅れた残念な気持ちと、彼女の作品をご夫婦で気に入って買ってくださったことの嬉しい気持ちとが相半ばしていましたところ、「森本さんの作品はまだこの他にもございます」と案内してくださりました。
販売済みになった作品は5つの縫いぐるみが一つのビニール袋に入っていますが、その一つ一つの縫いぐるみを個別に描いた作品が4点ありました。丸いキャンバスに描かれた少し小ぶりの作品が3点と、メインと同じ大きさで、黒のバックにビニール袋に入った緑のカメの縫いぐるみの絵の4点でした。担当の女性はこの作品の「Space Journey」というタイトルが素敵だと力説されており、私も大いに気に入りました。どれもこれも気に入ったのですが、結局「Space Journey」を頂くことにしました。支払いを済ませながら色々とお話をし、私が彼女の高校の校長だというと、少し驚いておられました。担当の方も森本さんの作品が大好きなようで、スマホに彼女の作品集を収めておられ、その中には高校時代に彼女が描いた懐かしい作品もありました。
森本さんはおとなしい中にも絵に対する情熱を秘めた生徒でした。そしてまた生徒会活動にも積極的に参加してくれていました。毎年夏に開かれる大阪私学美術展では、2年生で特別賞の大阪市立美術館長賞を、3年生で優秀賞を受賞し、全国高等学校総合文化祭にも参加しています。今回の作品には彼女の優しさと温かさが一杯詰まっています。本校卒業生で期待の若手作家の仲間入りをした彼女の作品を購入する機会に恵まれ本当に嬉しく満足に思います。30日の会期が終わりましたら搬送してもらい、校長室に掛けようと思っています。その日を楽しみにしています。そして彼女の今後の益々の活躍を祈っています。